Korg VC-10 Vocoder

KORGのボコーダーです。かなり解像度の高いサービスマニュアルが公開されています。(46Mbyteもあります)

http://www.autodafe.net/SynthManuals/Korg_VC-10%20Vocoder/Korg_VC10_Service_Manual.zip

■全体の特徴
○とにかく徹底した簡略化がされています。VCAはすべて1トランジスタです。多少ノイズが多めという噂がありますが、きっとそのせいでしょう。

○キーボードは全鍵発振です。それぞれの鍵盤にVCOがついています。でも1鍵盤あたりわずか4トランジスタしか使っていません。

■KLM-136
○5ページ目と6ページ目は一枚の図面ですので、並べて1枚の回路図として説明します。

○この基板には、ボコーダの要となる周波数分析合成部と、ポリフォニックキーボード音源部以外の機能が実装されています。

○左上はマイクからの音声信号のプリアンプ類です。NE570の半分はマイクのコンプレッサーになっています。

子音再現用のノイズジェネレータもついています。これは普通の楽器音には子音を再現できるような信号成分が入っていないからです。楽器音と別にノイズを使い、子音がある場合には、このノイズを通すことにより、子音らしき音を作ってやっています。
もう半分はノイズリダクションに使われているようです。

○左下はアンサンブル効果を得るためのコーラスです。遅延回路は2系統あり、別のLFOでモジュレーションされています。それぞれのLFOはCMOSのインバータを3つずつ使った発振回路です。

3個のLFOからのCVは、KLM-135に供給されています。

■KLM-135
○7ページ目と8ページ目は一枚の図面ですので、並べて1枚の回路図として説明します。
○ポリフォニックキーボードの音源部です。前述の通り、鍵盤それぞれにVCOとVCAが一つづつついています。

○右上は、外部からのVCO制御用です。指数回路を変形して、指数制御とリニア制御の両方ができるようになっています。(VCOの回路の特性を補償するような、トリッキーな回路のようですが、残念ながら読み取れません。)ここで変換されたVCO制御電圧は、p.??の右上のオペアンプで、3つのLFOからのCVと加算されて、左下から、3系統のモジュレーション信号としてそれぞれのVCOへと供給されています。

3鍵ごとに、別のモジュレーションがかかるようになっています。普通の和音を引けば、ばらばらにモジュレーションされた気持ちよいうなりが聞こえるのでしょう。

○Q10x(Q101など)は、定電流源です。半固定抵抗VR10x(Q101など)で鍵盤ごとの周波数を調整するはずです。
定電流が、C20x、C30x(C201など)で積分されます。Q20x(Q201など)のN3T1はPUTです。C20xとC30xに積分された電圧が閾値を超えると電荷を放電します。

Q30x(Q301など)はバッファなのですが、その負荷となっているR60xとR70xで、すぐにアッテネータになり、1トランジスタVCAのQ40xのコレクタに直接入力されています。VCAのエンベローブは
C10x、R10x(とR20xと思われる抵抗。定数は読み取れません)で作られています。
もちろん、その時定数は固定です。

■KLM-134
○9ページ目と10ページ目は一枚の図面ですので、並べて1枚の回路図として説明します。
○この基板ではボコーダの要である、周波数分析と合成を行っています。

○オペアンプIC10x(IC101など)はマイク信号の周波数分析部です。それぞれBPFを2段直列にして、他の周波数の影響を受けないようにしています。マイクからの信号はBPFを通ってから、全波整流回路に送られます。キーボードからの信号は、オペアンプIC30x(IC301など)によるBPFを通ってから、減衰させられてVCAのQ10x(Q101など)へと送られます。VCAはKORG得意の1トランジスタ型で、大量に使われています。

○オペアンプIC20x(IC201など)は全波整流回路で、2段の平滑回路(R120x, C50x, R130x, C60x)とあわせてエンベローブフォロワを構成しています。ここで得られたエンベローブのCVはR230xを通じて、直接VCAに送られています。普通ならVCAとの間にバッファを使いそうになりますが、時定数を変えるのでなければこれで十分なのです。すごい設計だと思います。

平滑回路は、本当にただのCRフィルタです。アタック(立ち上がり)が速く、ディケイ(立ち下り)が遅くなるような非対称な時定数にしている例も多いのですが、ここでは対称です。私はその理由はVCAを簡易化したからだと推測しています。VCAが簡易なので、エンベローブフォロワからのCVが漏れやすいのです。アタックを速くしてしまうと、プツプツあるいはボコボコというノイズが出てしまうのではないかと思います。

おわり

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