アナログ電子楽器の回路を読む

アクセスカウンタ

zoom RSS Phaser Based on LM3900s

<<   作成日時 : 2011/08/18 21:32   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

ノートンアンプLM3900でPhaserを設計しました。設計したのはずいぶん昔で、APF部分の簡単なテストをしただけですが、公開してしまいます。

■APFの原理

まずAPF(All Pass Filter: 移相回路)の原理を説明する図です。ここでは簡単のため、制御のための電流Icは定電流源から供給されることにして、インピーダンスを無視します。また完全にキャンセルされるとして、直流的な電流によるバイアス点の変化などを無視します。

画像
Fig.1: All-Pass Filter Based on Norton Amplifier.
図1: Norton Ampを使ったAll-Pass Filterの動作原理.


Audio入力信号を電流で考えます。近似として、R1がC1やInput Diodeのインピーダンスよりもはるかに大きい必要があります。

R1が十分に大きければ、入力信号電圧から電流への変換はR1だけで決まります。この電流はInput DiodeとC1に分配されます。その分配比率はInput DiodeのインピーダンスとC1のインピーダンスで決まります。Input Diodeのインピーダンスを制御できれば、分配比率も制御できるわけです。ここで分配される電流の位相差は90度です。

C1に流れた電流は反転入力に流れ込みます。Input Diodeに流れた電流はカレントミラーで反転されて反転入力でC1からの電流と合成されます。

カレントミラー経由の電流は、Input Diodeへ分配された電流と絶対値は同じで、その位相はC1の電流と-90度の関係にありますので、合成された結果、絶対値はR1に流れた電流と同じになります。これは位相がずれただけの信号になります。この電流をRoutで電圧に戻して出力されます。

実際の回路では、制御のための電流は定電流源からではないので、その影響があります。影響をできるだけ小さくする定数設計が必要です。


■フェイザーにした回路と周波数特性

図1の回路をもとにフェイザーを設計、シミュレーションしました。

画像
Fig. 2: 4-pole Phaser Based on Norton Amplifiers.
図2: Norton Ampを使ったPhaserの回路図.


各APFには、制御電流を供給する回路と、その制御電流をキャンセルする回路がいろいろついています。見ての通り部品点数が多くて、ちょっと作るのに躊躇します。

CV系はかなり複雑です。まずU5でCVを加算します。それをU6で指数変換します。この指数変換回路はSergeのVCO( http://houshu.at.webry.info/200710/article_1.html )を参考にしました。指数変換された電圧を{Rbn}経由で反転入力に流し込み、それを{Rbp}経由で非反転入力の電流でキャンセルするような電圧をU3で算出します。 (ここでLM3900はすべてマッチングが取れているものとしています。抵抗もマッチングが取れていなければなりません。) Input Diodeのインピーダンスを制御しているのは非反転入力の電流なので、普通なら、非反転入力の電流をキャンセルするように反転入力の電流を算出するのですが、同じような値の電流なので、キャンセル回路が簡単になるような回路にしました。どうやっても特性が綺麗にはならないので、性能や精密さよりも回路の簡単さを優先しました。

Audio信号系は単純にAPFが縦続接続しているだけです。ただし信号経路にはキャパシタがたくさんあります。また制御電流を供給する回路の影響が無視できないので、周波数特性はかなり崩れます。APF1段の周波数特性はシミュレータでは以下のようになりました。

画像
Fig. 3: Frequency Response of an APF.
図3: APF1段の周波数特性.


中心周波数を決めるCVを低くすると、中心周波数が下がるとともに利得も下がります。制御電流を供給する経路の抵抗{Rbp}やキャンセルする経路の抵抗{Rbn}の影響が無視できなるなるためです。

高域の特性もよくありません。LM3900のモデルが怪しいので、そもそもこのグラフが信頼できるかどうかはわかりません。

APFを4段接続すると以下のような特性になりました。

画像
Fig. 4: Frequency Response of 4-stage APF.
図4: APF4段の周波数特性.


APF4段の周波数特性は単純に4段分積み重なった特性になっています。縦軸の目盛りが図3とは違いますので注意してください。4段つなぐと利得の低下が目立ってきています。

入力信号と加算して干渉させた特性は以下のようになります。

画像
Fig. 5: Frequency Response of Notch Output.
図5: 干渉させてノッチフィルタとした出力の周波数特性.


これはFeedbackが0の場合です。APF4段の利得が少し落ちている分を考慮してR12より少し小さめの値をR11にしています。一応この補正のおかげでPhaserらしく、2つのかなり深いディップが形成されています。


■出力波形

非対称に少し歪んでいますが、それらしい波形になっています。以下は入力信号を500Hzの方形波とした場合の出力信号波形です。

画像
Fig. 5: Example Set of Input and Output Waveforms.
図5: 入出力波形の例.


おわり

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
VCLPF Based on LM3900
LM3900でLPFのVCFを設計しました。シミュレーションでも高精度な特性は得られなかったのですが、記録として公開します。 ...続きを見る
アナログ電子楽器の回路を読む
2011/08/19 19:55

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
KORG monotron (モノトロン)
KORG
ユーザレビュー:
毎日使っていると楽し ...
安い、簡単、太い音、 ...
モデリングではありま ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る
ド素人のためのオリジナルエフェクター製作 (シンコー・ミュージックMOOK)
シンコーミュージック【増補改訂版】
遠藤 智義
ユーザレビュー:
表紙がファンキーです ...
本当に使えるエフェク ...
意外にも中級者でも読 ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る
Phaser Based on LM3900s アナログ電子楽器の回路を読む/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる