Serge (Befaco) Voltage Controller Slew Limiter

Sergeの様々なモジュールで使われている回路を解説してみます。

Sergeのコピーモジュール例:
https://www.elby-designs.com/webtek/cgs/serge/cgs75/cgs75_vcs.html

これだと多機能で回路も複雑すぎるので説明しがたいのですが、単機能だけの回路を見つけました。

http://www.befaco.org/slew-limiter/
右下のDocsの中のSchematicから回路が見つかります。

まず書き直した回路です。あとの説明の都合で、NPNとPNPトランジスタの位置はBafecoの回路図とはを変えてあります。

SlewLimiter202005.png

単機能にしても、一見では理解しがたいです。これを簡単な回路から徐々に複雑にしていく方法で説明します。

まずは反転増幅器が2つ直列に接続されているだけの回路です。

SlewLimiter202005a0.png

この回路の入力に方形波を入れた場合の出力波形を示します。真ん中のグラフはあとで使うのでここでは波形がないです。

SlewLimiter202005a0w.png

入力波形と出力波形は当然同じになります。ちょっとヒゲがありますが、気にしないでください。

ここでのオペアンプを、積分器で置き換えると次の回路になります。

SlewLimiter202005b1.png

その入出力波形は次のようになります。

SlewLimiter202005b1w.png

積分器の直流に対する利得はとても大きいので、出力波形は鈍りますが、最終的には入力と同じ値になります。これで、立ち上がり(RISE)と立ち下り(FALL)が同じ時定数で指数減衰するLPFになっています。Gateを入力にすればARのEnvelope Generatorになります。

積分器の前に、出力がクリップするアンプを入れると減衰の曲線を直線的にすることができるようになります。回路は次の通りです。

SlewLimiter202005c2.png

クリップするアンプU2が反転増幅器なので、再度反転増幅器U3を入れてあります。

クリップするアンプU2の出力[Vcurve]の波形を中段にいれた各部波形は次のようになります。

SlewLimiter202005c2w.png

クリップしているときには直線になり、クリップしないときには指数的に減衰するのがわかります。
これでまさにSlew Rateが制限された、Slew Limiterになりました。

ここからちょっと難しくなります。積分器の時定数を電圧制御できるようにするために、積分器の前に、指数変換回路を使った電圧電流変換回路を入れます。次の図では、わざとPNPトランジスタを抜いてあります。これなら指数変換回路であることがわかると思います。これでは片方向の電流しか扱えないので、実際には動きません。

SlewLimiter202005d3.png

ここにPNPトランジスタも加えると、実際の回路(再掲)になります。

SlewLimiter202005.png

ちなみに、正負両方向の電流を扱える指数変換回路は、VCAになります。発明者の名前からBlackmer Cellと呼ばれており、歪を低減する改良を入れて、dbxなどで使われています。今もThat社のICとして入手できます。ただし、制御電圧は正負共通で別の値にはできないので、今回のSlew Limiterには使いにくいです。

各部の波形を示します。

SlewLimiter202005w.png

出力波形で、立ち上がりと立ち下がりで時定数が違うのがわかります。制御電圧がRISEとFALLで違うからです。

おわり。

おまけ: 可変抵抗(VR)でカーブを変えると、時定数も変わってしまいます。これはADSRでは使いにくいので、BefacoのADSRでは2連のVRで補正しています。解析してみると面白いですよ。この説明はまた機会があれば。

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