EMS VCS3/Synthi Oscilator (VCO)

VCS3/Synthiは伝説的名盤に使われたことは御存知のとおりです。しかも現行機種というところがさらにすごい。ほとんどがディスクリートで組まれており、回路図も味わい深いです。

主要な回路のいくつかはHintonのサイトに公開されています。(VCFがないのが残念ですね)

 http://www.hinton-instruments.co.uk/ems/emsmods.html

今日は発振器、VCOについて説明します。

■Oscillator

回路図: http://www.hinton-instruments.co.uk/ems/vcs3osc1.gif

○アンチログ
・Q59とQ60はアンチログのペアトランジスタです。Q59のベースに入力されたCVがアンチログ変換されて、Q60のコレクタから電流として吸い込まれます。
・Q61とQ63で簡易なオペアンプになっています。Q63はツェナーダイオードとして使われています。これにより、R161を流れる電流、すなわちQ59を流れる電流が一定になります。

○基本の発振器
・Q64とQ65も簡易なオペアンプです。C59がその入出力につながっていて、ミラー積分器を構成しています。
・Q62は、Q60からの電流を充電したC59を放電するスイッチです。シュミットトリガ(図ではHysteretic Switch)でON/OFFされます。

・Q67, D32, Q68, D33で、やはり簡易なオペアンプになっています。
 D32は、Q67の温度特性を補償するような役目を持っていて、グランドとの間の電圧を増幅する差動アンプになります。(本当は、D32はQ67と同じトランジスタにすべきです。
 D33で出力がクリップされているのは、Q62のB-E間に負担をかけないように(逆バイアスしないように)するため、および、シュミットトリガの閾値を安定させるためだと思います。
・Q67, D32, Q68, D33の簡易オペアンプにR192で正帰還をかけて、シュミットトリガを構成しています。閾値電圧はPR17で微調整するようになっています。この閾値電圧によって、出力されるノコギリ波の直流レベルが変わります。PR17は、最終的な正弦波の波形がきれいになるように調整するようです。

○ノコギリ波→三角波変換
・D30とQ69は全波整流回路になっています。Q69は、図ではNPNトランジスタになっていますが、実はPNPトランジスタです。R198につながるほうがエミッタで、R199につながるのがコレクタです。(以前からおかしいなとは思っていたのですが、最近古い手書き回路図を見る機会があり、確認しました。)
 Q69が非飽和のときには普通のエミッタ接地(反転)増幅器として動作します。Q69が飽和のときにはQ69のベース-コレクタ間ダイオードがONになります。その結果、R199の上端には三角波が出てきます。

○三角波→正弦波変換
・Q70, Q71, Q72は少ししっかりしたオペアンプです。このオペアンプにD34~D41で帰還をかけて、三角波の頭をクリップすることにより、正弦波を発生します。
・VR38で三角波に直流バイアスをかけて、クリップを非対称にすることができます。モジュレーション用の波形としては便利です。

おわり

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この記事へのコメント

houshu
2007年05月15日 02:15
少なくとも現在は生産されていないらしいです。ガセネタでごめんなさい。

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