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zoom RSS Variations of All-Pass Filters Using OTA

<<   作成日時 : 2014/05/25 01:38   >>

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LM13600(NJM13600)やCA3080(LM3080)などのOTAを使ったAll-Pass Filter(APF)の回路をまとめてみました。

APFは、Phase Shifter、移相回路とも呼ばれます。周波数によって位相だけ回転して、振幅特性は平坦なフィルタです。固定のフィルタとしては、音の変化がとても少ないのですが、変調をかけるとビブラートに聞こえます。もとの音と干渉させて、気持ち良い音になるようなエフェクタがPhaser(エフェクタをPhase Shifterと呼ぶ機種も多い)です。

回路の解析はちょっと難しいのですが、参考になるように、元になる固定のAPF回路を並べてみました。中心周波数を決める抵抗をうまくOTAに置き換えると電圧可変のAPFができます。

画像
All-Pass Filters Using OTA.


■回路の説明

●[B]: もとになる回路[A]では、入力信号(あるいは単にバッファした信号)とそれを反転した信号とを、抵抗とコンデンサで合成しています。バッファした信号と反転した信号を同時に得るために、UniVibeなどでは、エミッタ接地増幅器のエミッタ信号とコレクタ信号を使っています。UniVibeでは[A]のR12を可変するためにCdSセルを使っています。この可変抵抗をOTAで作ろうと変形していくと、左の[B]になります。Electro HarmonicsのSmall Stoneなどで使われています。

●[D]: OPアンプ回路の教科書によくあるAPF回路[C]を変形することもできます。回路[C]の抵抗R10をOTAで可変にした回路が、Boscorelliさんの著書「Stompbox cookbook」のPhase-o-maticにあります。(私はこの書籍でしか見たことがないです。)

http://revolutiondeux.blogspot.jp/2012/01/nicholas-boscorelli-stompbox-cookbook.html

この書籍ではのダーリントンバッファに代えて、回路[D]では、ボルテージフォロワU12を使っています。

●[E]: OPアンプのバーチャルショートをうまく使って回路[D]を変形すると、ボルテージフォロワU12をなくした回路[E]の回路ができます。この[E]は、[B]と似ているけど、ちょっと違う、という面白い回路です。この[E]はもしかしたら私のオリジナルかもしれません。どなたかご存知でしたらお知らせください。

●[G]: 回路[C]のCRを入れ替えた回路[F]からでも変形できます。回路[F]の抵抗R18をOTAに置き換えたものが[G]です。この回路[G]が使われた作例は見たことがないですが、特別なメリットもないです。

●[H]: 回路[G]のボルテージフォロワU19がなくなるように変形した回路が[H]です。この[H]は多分私のオリジナルだと思います。とくにメリットはないと思ったのですが、シミュレーションしてみると、ゲインが周波数に影響されにくいことが分かりました。

●[J]: 回路[F]の途中にボルテージフォロワU17を無理やり入れた回路が[J]です。U17までのLPFの結果と、入力信号をU18でミキシングした回路であることが分かると思います。この解釈をすると、別の回路が出てきます。

●[K]: 回路[J]から、何段階も変形すると[K]の回路ができます。(この[K]は2002年に考えたのですが、[J]から変形できるとは思っていませんでした。変形過程はかなり面倒なので省略します。)

●[M]: 回路[J]のU18での加減算をU13とU16に分けると[L]になります。回路[L]におけるU13までを、反転するLPFとみなして、OTAによる可変LPFで置き換えると回路[M]ができます。反転LPFは、SSM2164でもできます。SSM2164を使ったPhaserはこの回路を使っている場合が多いようです。


■周波数特性

どの回路も、ほとんど同じような特性です。一応差がわかるように振幅特性の0dB付近だけ拡大して図示します。

画像
Frequency Responses of APFs.


実線が振幅特性、破線が位相特性です。振幅特性はほとんどフラットですが、若干のうねりがあります。うねりの量は、回路図にも書いてありますが、以下のような順序になりました。

[M]: 0.02dB < [H]: 0.1dB < [K][B]: 0.6dB < [E]: 1.0dB < [D]: 1.2dB.

なお、楽器に使う場合にはこんなうねりは問題にならりません。MXRのPhaserなどでは、帰還をかけてわざとうねりを作っていたりします。楽器では問題にならないこの程度のうねりも、もし測定機を作るなら大事です。思ったよりも特性に差があったので紹介しました。

おわり

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