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zoom RSS Single-Supply OTA-Based Multimode VCF Pt.1

<<   作成日時 : 2012/02/21 00:47   >>

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単電源で動くVCFを設計しました。部品数も少なくて、OTA (Operational Transconductance Amplifier)2個と数個のトランジスタしかいりません。OTAが2個入っているLM13600を使えば、ICは1個です。消費電流もかなり小さくできました。すでに万能基板上に製作してテスト済みですが、今回はまずシミュレーションした回路について説明します。

■回路の説明

画像
Schematic of Single-Supply OTA-Based Multimode VCF.


この回路は一見簡単とは言い難いですが、機能と性能の割にはとても簡単な回路です。いろいろな2次フィルタの回路を参考にしています。

○フィルタの構成

・基本的には状態変数型を変形したARP4023に近い構成です。
 参考記事: http://houshu.at.webry.info/200602/article_1.html

・様々なフィルタ特性は、入力で選べるようにしました。この機能はSteinerのフィルタのまねをしました。ただしSteinerではSallen-Kay型フィルタを使っているのに対して、ここでは状態変数型です。状態変数型も信号を入力する場所をうまく選べば、いろいろな特性が得られます。状態変数型のフィルタでは、複数の出力をミキサで加減算していろいろな特性を合成する作例が多いですが、このように入力で合成することで、回路を簡単にすることができます。
 参考回路: http://www5b.biglobe.ne.jp/~houshu/synth/VcSvf01a.gif

・レゾナンスのためのフィードバック回路は、Oberheim SEM-1のVCFからコピーしました。ただし必ず発振するように、ARP4023をまねて、正帰還経路を作りました。

・HPF入力を作るために、MS20のように、キャパシタC1の接地側から信号を入れています。Q8によるバッファはとても簡単で出力インピーダンスはあまり低くはありませんが、C1のインピーダンスが高いので、これくらい簡単な回路でも影響はそれほどは出ません。

○指数変換回路
・消費電流が少なくて、かなり精度が良い指数変換回路ができました。
・指数変換回路はOSCarを参考にしてて、LM13600のカレントミラーを指数変換素子として使っています。
・これに温度補償をするために、PCM1723さんのアイデアを少し変形してWilson型のカレントミラーでも動作するようにしました。
  参考記事: http://houshu.at.webry.info/200907/article_1.html
 温度補償は若干弱めにして、カットオフ周波数が1kHz付近のときに、温度によるカットオフ周波数の変化が最小になるようにしました。温度補償抵抗を使わなくても、そこそこ変化が小さくなるはずです。もしR23に温度補償抵抗を使う場合などは、R7をR8と同じ22kΩにしたほうがいいはずです。
・D3とD4は、OTAとしてCA3080(LM3080)を使ってシミュレーションをしたためです。このダイオードでLM13600と似た特性になるはずです。LM13600を使う場合にはD3とD4は要りません。直結します。もしOTAとして3080を使う場合は、R7をショートすればやはりD3とD4は不要です。ただし3080のマッチングをとって、制御電流(Iabc)を合わせる必要があります。13600ならばある程度の範囲に収まるようです。

○電源周辺
・BIAS電圧は、電源の半分にはしませんでした。電源電圧が低いときの発振波形を見て、クリップしにくいように少し低めに設定しました。
・広い電源電圧範囲で安定した特性を得るために、ツェナーダイオードD5を使った基準電源Vrefを設けました。電圧の安定しない電池動作を前提にしています。他に電流をたくさん供給する必要はないので、D5に流す電流は少なめにしてあります。7Vから動作します。高い電源電圧を使う場合は、念のため入れてある電流制限抵抗R10を大きくしておいたほうがいいです。ツェナーダイオードに流す電流を大きめにしておいて、R10への電源供給をVrefから行っても良いかもしれません。

・消費電流はシミュレーションでは数mA以下になりました。半分以上がOTAで消費されています。


■周波数特性

CVを0Vから2Vごとに切り替え、レゾナンスのVRを数点切り替えた場合の周波数特性を示します。指数変換回路の特性が良いので、ピーク周波数が一定間隔に綺麗に並んでいます。

○LPF

画像
Frequency Response for LPF Input.


○HPF

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Frequency Response for HPF Input.


○BPF

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Frequency Response for BPF Input.



■温度特性

温度特性も良好といっていいと思います。温度補償は平行移動分しか行っていないので、傾きは温度で変化します。BPFでレゾナンスをほどほどにした場合の周波数特性を示します。温度は10度から40度まで変化させてみました。指数変換回路では、傾きが変化する中心周波数が1kHz付近になるように、平行移動の補償を調整してあるので、ご覧のように、温度による特性変化はかなり少なくなっています。

画像
Temperature Drift of Frequency Response for BPF Input.



■発振波形

発振させた場合の波形です。CVをスイープしています。正帰還経路があるのでかなり低い周波数まで発振します。振幅は2Vpp(Peak-to-peak)で安定しています。

画像
Output Oscillation Waveform When Resonance is Maximum.


つづく

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
D1, D2 を通す NFB パスはなんのためでしょうか?レゾナンスの高いところで動作を安定させるためですか?

レゾナンスの調整は、ボリュームをグランド側に落として NFB を弱めると発振を起こす、ですか?あるいは逆ですか?

じぶんでシミュレータ上で組んでみればよいのですけれどもね ;-)
Gan
2012/02/25 11:47
Ganさん
> D1, D2 を通す NFB パスはなんのためでしょうか?
発振時の振幅を安定させるためです。

状態変数型なのでNFBを弱めると発振します。振幅が大きすぎる場合には、D1,D2がONになって少しだけNFBがかかって振幅が安定します。このダイオードがないと、電源電圧まで振り切れます。ダイオードのおかげでかなり綺麗な正弦波が出ます。
houshu
2012/02/25 20:48
レゾナンスの安定化はいつも苦労するところですが、きちんと回路を解析すれば理にかなった方法で単純に行うことができるんですね。
Gan
2012/03/03 11:46

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