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<<   作成日時 : 2011/09/09 19:14   >>

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トランジスタ技術 アナログ回路設計コンテストの入賞作について説明します。

http://toragi.cqpub.co.jp/tabid/369/Default.aspx

■作品名称: 温度補償つき対数指数変換回路

■作品の特徴

○製作物全体

・AD538を中心に極少部品数で高精度な対数指数変換回路を実現しました。

・アナログシンセ(音楽製作用)のOct/V型(1Vの電圧変化で周波数が2倍)とHz/V型(電圧と周波数が比例)のインターフェースであるKORG社MS03の機能を実現したモジュールとしてま とめました。(20年以上前の機材で販売されていません。)

・パネルのつまみは、それぞれ2つずつです。
   Scale:音程スケール(指数対数の底:理論的には2ですが微調整が必要)
   Frequency:音程の平行移動(周波数では定数倍の移動)
 (パネルにはGateと書かれた枠がありますが、未だ製作していません。ただのインバータです。)


○回路の説明

・回路図

画像
Fig. 1: Exponential/Anti-Log Amplifier.
図. 1: 指数アンプ.


画像
Fig. 2: Log Amplifier.
図2: 対数アンプ.


・内部対数指数変換回路の温度特性を利用して、入手しにくい温度補償抵抗(3300ppm/deg.)を不要にしています。
 温度補償の原理:対数変換後に指数変換をすると、全体としては単なる定数倍の増幅器になります。ここで経路の途中の指数変換回路における差動ペアに約25mVを加えておくと、温度特性が3300ppm/deg.の増幅器(増幅率は約1/e倍)ができます。
 (参考)この方法は2009年に考案したもので、バリエーションをBlogで公開しています。
    http://houshu.at.webry.info/200908/article_1.html
    http://houshu.at.webry.info/200908/article_2.html
    http://houshu.at.webry.info/200909/article_1.html
    http://houshu.at.webry.info/200909/article_3.html
    http://houshu.at.webry.info/201011/article_6.html
   定量的な説明はPCM1723さんが数式で解説してくださっています。
    http://d.hatena.ne.jp/pcm1723/20090906/1252251837

 シミュレーションでは温度範囲0度から40度、電圧範囲1000倍で最大2%程度しか変化しません。

・AD538では、必要な機能ブロックのほとんど(対数変換回路と対数指数変換回路と高精度基準電源)が内蔵されているので、とても回路が簡単になりました。また、指数特性を支配するNPN差動ペアの熱結合が理想的で、内部の抵抗のマッチングや熱結合が良いはずなので、高精度が簡単に得られることを期待しました。実際に良い特性でした。

・指数変換回路を実現するために、AD538内部の対数回路を外部OPアンプの負帰還経路に挿入して逆特性を得ています。正信号しか扱ないのでダイオードなどで保護をしています。(図1)

・対数変換回路はAD538内部の回路そのものを使いました。(図2)

・外部OPアンプにはOP07を採用しました。高精度なので調整しなくても使えるレベルの性能が出ました。(これもChipOneStopから提供いただいたICです。)

・高精度電圧源は、10V出力と2V出力をショートして、インピーダンスの低い2V基準電圧出力になるように使っています。

・固定抵抗と半固定抵抗はすべて金属皮膜抵抗かそれに準じるものを使いました。

・半固定抵抗の可変域はかなり広めにとってあります。これは温度補償をする対数指数変換回路の増幅率が不確定であるためです。

・可変抵抗は安物で温度特性が怪しいので、その影響が少なくなるように、抵抗値ではなく分圧比で特性が決まる回路にしました。


○精度、温度特性

・指数変換回路で誤差0.1%(半音の60分の1)しか許容しない場合でも5オクターブ以上使えます。
 誤差0.3%(半音の20分の1)を許容すれば8オクターブ位使えます。
 可聴域10オクターブをほぼカバーします。

  指数変換
 入力電圧  誤差%
 0.999V 0.263503987
 2.001V -0.020083665
 3.001V 0.023297749
 4   0.031473844
 5   0  (0.4697V)
 6   -0.119301945
 7   0.272823368
 8   -0.170229671
 9    0.11285704
 10   -3.496378407(OPアンプがクリップしたための誤差)

・対数変換回路はさらに誤差が少ないです。2Vの場合を基準に誤差を算出しました。あまりに誤差が小さいので、再度指数変換して評価しています。それでも0.2%ですからとても高精度です。

  対数変換(誤差が小さすぎるので再度数式で指数変換して評価しました)
 入力電圧  誤差%
 0.067V 0.173777658
 0.125 0.180055971
 0.187 0.146373222
 0.251 -0.22437823
 0.374 -0.061658936
 0.5 -0.2077281
 0.751 -0.007983846
 1.001 0.030640008
 1.5    0.066737726
 2    0
 3    -0.071888118
 4    0
 6    0.136122747
 8.01 -0.013706557
 12    0.066737726

・温度特性を精密に測定できる環境にありませんが、ICチップに指を触れる簡易評価をしました。
 温度補償をしないと約1%変化する温度変化でも、補償により0.1%以下の変化(最大でも3+3/4桁テスターの最下位桁が+-2変化する程度)でした。


○製作物写真

・100円のプラスチックケースに電源回路とともに収めました。ビニール袋とテープで絶縁しています。

画像


画像



○本当に簡単な回路で十分に高精度な回路ができました。高価ですが専用ICのありがたみを実感しました。

おわり

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